術後ケアの課題

退院後の「見えない期間」

心臓手術後の患者様は、退院から次の外来まで2〜4週間、医療者の目が届かない期間が生じます。

この間に起こりうるリスク:

  • 心房細動の新規発症・再発
  • 過活動による心負荷
  • 服薬アドヒアランスの低下
  • 心不全徴候の見逃し

従来の24時間ホルター心電図では、発作性の異常を捉えにくいケースがあります。長時間記録型の選択肢も増えていますが、日常生活での継続的なモニタリングには別のアプローチが求められます。

患者様からの問い合わせ対応

「この症状は大丈夫でしょうか」
「薬を飲み忘れたのですが」

外来看護師への電話問い合わせは、客観的データなしでの対応を強いられます。

Heart Guardianの提案

スマートウォッチによる24時間連続データ収集で、
退院後の「見えない期間」を可視化します。

24時間連続
データ収集

心拍数、心電図、活動量、睡眠データを24時間連続で収集。ホルター心電図では捉えられない発作性の異常も検出可能に。

医師向け
ダッシュボード

患者一覧、アラート機能、トレンド分析を一画面で確認。外来前にデータを把握し、効率的な診療を実現。

医療情報
セキュリティ

すべての通信は暗号化。医療情報として厳重に管理し、アクセス制御・監査ログで安全性を確保。

臨床的意義(循環器領域)

心房細動の早期検出

背景

心房細動の有病率は加齢とともに上昇し、80歳以上では10%を超えます。無症候性心房細動(Silent AF)は脳梗塞の重大なリスク因子であり、早期発見・抗凝固療法導入が予後改善に直結します。

スマートウォッチの役割

  • Apple Watch:心電図アプリ(医療機器承認済)で心房細動を検出
  • 光学式心拍センサー(PPG)による24時間の不規則脈波検出
  • 患者自身が症状自覚時に心電図を記録可能

心臓リハビリテーションの遠隔支援

課題

外来心臓リハビリは週1〜2回が限界。自宅での運動処方遵守状況は把握困難です。

本システムの価値

  • 日々の活動量・運動強度をデータで把握
  • 過負荷(目標心拍数超過)の検出
  • リハビリ進捗の客観的評価

心不全増悪の早期察知

着眼点

心不全増悪の兆候:

  • 活動量の低下(数日前から)
  • 安静時心拍数の上昇
  • 睡眠の質の悪化

本システムの価値

  • 体重計連携による体重増加の検出
  • 活動量トレンドの可視化
  • 外来前のデータ確認で効率的な診療

外来診療の効率化

次回外来前にデータを確認できるため、限られた診療時間を有効活用。「なんとなく調子が悪い」を客観的データで評価し、より質の高い診療が可能になります。

電話問い合わせ対応も「データを見ると○○なので...」と根拠ある対応が可能に。

エビデンス・先行研究

スマートウォッチによる心房細動検出

研究 対象 主な結果
Apple Heart Study (2019) 419,297名 不規則脈波通知の陽性的中率(PPV) 84%
Huawei Heart Study (2020) 187,912名 PPGによるAF検出の陽性的中率(PPV) 91.6%
Fitbit Heart Study (2022) 455,699名 PPGアルゴリズムの陽性的中率(PPV) 98.2%

遠隔モニタリングの臨床効果

TIM-HF2試験 (Lancet 2018)

  • 遠隔モニタリング群のdays lost(未計画CV入院または死亡による損失日数):平均17.8日/年 vs 対照群24.2日/年
  • 全死亡率 相対30%低下(HR 0.70)

医療機器承認状況(日本国内)

Apple Watch 心電図アプリ

管理医療機器(2021年1月 日本国内提供開始)

Fitbit 心電図アプリ(Pixel Watch)

管理医療機器(PMDA掲載: 2024年10月)

本システムの位置づけ(重要)

本システム「Heart Guardian」は医療機器ではありません。薬機法に基づく医療機器としての承認・認証を受けておらず、診断・治療を目的としたものではありません。

本システムは、上記の認証済み医療機器(心電図アプリ)から取得したデータを医師に提供する「健康情報の提供ツール」として位置づけられます。診断・治療の判断は医師が行います。

導入メリット

医療の質向上

  • 術後合併症の早期発見
    24時間連続データにより、外来では捉えられない異常を検出
  • エビデンスに基づく診療
    「なんとなく調子が悪い」を客観的データで評価
  • 患者エンゲージメント向上
    自身の回復を数値で実感、治療への積極的参加

業務効率化

  • 外来診療の効率化
    事前にデータを確認、問診時間を短縮
  • 電話問い合わせの質向上
    「データを見ると○○なので...」と根拠ある対応が可能
  • 多職種連携の促進
    医師・看護師・リハビリスタッフがデータを共有

病院経営への貢献

  • 差別化要因
    「術後もつながる病院」としてのブランディング
  • 再入院率低下
    早期介入による急性増悪の予防
  • 患者満足度向上
    「見守られている安心感」の提供

医師向けダッシュボード

直感的なインターフェースで、効率的な患者管理を実現します。

患者一覧画面

ステータスインジケーターで患者の状態を一目で把握。 正常 要確認 などの表示で、優先度の高い患者を即座に特定できます。

個別患者画面

  • 要確認事項のサマリー表示
  • 心拍数・活動量・睡眠のトレンドグラフ
  • 心電図PDFエクスポート機能
  • 経過サマリー自動生成
  • 患者へのメッセージ送信

主な機能

  • 患者ごとのアラート閾値設定
  • 外来前レポート出力
  • アクセス権限管理
  • 監査ログ
鈴木 花子 様 僧帽弁置換術後 7日目
要確認事項
・昨夜22:30 不規則脈波通知あり
・本日の安静時心拍 平均82bpm (前日比 +12bpm)
心拍数
82
+12
歩数
2,340
目標内
睡眠
5.5h
やや短い

想定ユースケース

ケース1: 術後心房細動の早期発見

患者: 72歳男性、冠動脈バイパス術後10日目

経過

  • 術後経過良好で退院
  • 退院5日後、スマートウォッチが不規則脈波を検出
  • 患者に自覚症状なし(Silent AF)
  • 心電図記録を確認 → 心房細動を確認
  • 外来予約を前倒しし、抗凝固療法を早期開始

→ 脳梗塞リスクを未然に回避

ケース2: 心臓リハビリの最適化

患者: 65歳女性、急性心筋梗塞後

経過

  • 外来心リハ週1回 + 自宅運動処方
  • データ確認で「週末に過負荷傾向」を発見
  • 孫と遊ぶ際に張り切りすぎていたことが判明
  • 具体的な活動制限を指導

→ 安全にリハビリ継続、3ヶ月で目標達成

導入の流れ

1

お問い合わせ・ヒアリング

貴院のニーズや対象患者層についてヒアリングさせていただきます。

2

デモンストレーション

実際のダッシュボード画面やアプリをご覧いただきながら、機能をご説明します。

3

トライアル導入

少数の患者様で試験運用を行い、運用フローを確立します。

4

本格導入・スタッフ研修

医師・看護師・事務スタッフ向けの研修を実施し、本格運用を開始します。

5

継続サポート

運用開始後も、定期的なフォローアップと改善提案を行います。

よくあるご質問

データの信頼性は?

Apple Watch心電図アプリは管理医療機器として承認されており、心房細動検出において高い感度・特異度が報告されています。ただし、あくまで補助的な情報として、臨床判断と組み合わせてご使用ください。

緊急時の対応は?

本システムはリアルタイム監視システムではありません。患者様には「緊急時は119番」を徹底指導いただきます。アラートはあくまで外来診療の補助情報としてご活用ください。

患者のITリテラシーが心配です

初期設定は当社サポートまたは医療機関スタッフが実施可能です。患者様は「着けるだけ」で、特別な操作は不要です。ご高齢の方にも安心してご利用いただけます。

既存の電子カルテとの連携は?

現時点ではスタンドアロンのWebダッシュボードとして提供しています。将来的なHL7 FHIR対応による連携を検討中です。

法的責任の所在は?

本システムはあくまで情報提供ツールであり、診断・治療の判断は医師の責任において行われます。データ見逃しによる責任を当システムが負うものではありません。詳細は導入時の契約書をご確認ください。

対象患者の選定基準は?

以下のような患者様に適しています:スマートフォンを日常的に使用できる方、術後の自己管理に意欲的な方、ご家族のサポートが得られる方。重度の認知機能障害がある方には適しません。

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